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さちおの日々のつぶやき。ボクスターネタはほとんど出てきません。


by boxster_sachio
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ギターを抱いた英雄たち その1

ロックギタリストの話をしていると、よく言われることがあります。
「"誰々のギターはうまい"とかってよく言うけれど、その違いが自分にはわからない」
至極もっともなご意見ですね。

「ギタリストとして」活躍している人々は、やっぱり誰もうまいと感じます。
それでも人気や評価の違いが出てくるのは何故でしょう?
そこで私なりに「いいギタリストの条件」を考察してみることにします。

ギタリストを構成する要素は大きく分けて三つあると思います。
★まずは「テクニック」。
これは「どれだけ思い通りに指が動かせるか」ということで、この中には「とてつもない速弾きができる」も含まれます。
★次に「表現力」。
例えば激しさや優しさといった感情を楽器の音で伝えるために、適切なテクニックを用いて情感豊かに演奏する、ということです。
★そして「フレージング」。
クラシックのように既存の曲を演奏するのではなく、自分(または所属するバンド)の曲にどんなギターを入れるのか、というセンスです。
もしかしたらアレンジャー任せで本人は演奏しているだけ、という例もあるかも知れませんが、ここでは「自分でフレーズを作っている」前提で進めていきます。

「テクニック」と「表現力」に関しては、ヴォーカル(歌唱)と同じと考えるとわかりやすいでしょう。
例えば速射砲のようなラップや4オクターブの音域は、その人特有の「テクニック」だと思います。正確に言えばテクニック=技術というよりも、「肉体性能」と言うべきかも知れません。
ギタリストにおいても「とてつもない速弾き」等は超人的な肉体性能であり、天賦の才に恵まれた人もいればトレーニングで身に着ける人もいます。

#但し極端にこの方向に走ると、サーカス的というか曲芸的になってしまいがちです。

対して「表現力」とは、情緒的な解釈を加えた「伝えるためのテクニック」です。
ヴォーカルに譬えれば「メロディを知っていて最後まで音を外さずに歌える」程度では「歌がうまい」とは言えませんよね?
時には囁くように時には叫ぶように、メリハリをつけてドラマティックに演出し、聴衆に「何か」を伝える・・それができる力を「表現力」と考えてください。

そして最後に「フレージング」。
この要素は他の二つとは大きく異なる要素だと考えています。というのも他の二つが「演奏家」としての能力なのに対し、ここで求められるのは言わば「作曲家」としての能力だからです。
つまりどれだけ心に残るフレーズを生み出すことができるか。
例を挙げればEAGLES「HOTEL CALIFORNIA」のエンディングソロです。ヴォーカルが最後のフレーズを歌い終え、バンドが「ジャジャジャッ!」とブレイクした瞬間、あのギターのフレーズが流れ出します・・「テレテテテェ~~、テレテ~、テレテテテ~、テーテレテッテェ~・・」(わかるかな・笑)。
ここで楽曲の主役はギターに変わり、聴衆はそのまま謎のホテルに迷い込んだ宿泊客であり続けるのです。
ソロの最後に繰り返されるリフレインも、一度聴いたら心に刻み込まれる名フレーズですね。

#この要素のひとつの見分け方は「口ずさめるフレーズがあるかどうか」です。

ちなみに私の考える、各要素を代表するエキスパートは以下の通りです(蒙御免)。
★テクニック
Edward Van Halen、Yngwie Malmsteen、Jeff Beck
★表現力
Eric Clapton、Michael Schenker、Jeff Beck
★フレージング
Ritchie Blackmore、Jimmy Page、Andy Summers(The Police)

概論をなぞるに留まりましたが、本日はこのへんで。
次の機会には、これらの尺度で眺めた名ギタリストと名フレーズを紹介していきましょう。
by boxster_sachio | 2005-01-05 23:02 | 音楽