2006年12月2日。
私は浦和の一番熱い日に出くわしていました。
その土日は埼玉県さいたま市(浦和界隈)に出張だった私(!)。
とは言え仕事で上司/同僚・取引先一同と一緒だったため、埼僕団関係のプチオフをする隙はありませんでした(笑)。
土曜の業務は15時半頃には終了、私以外のメンバーは浦和駅近くのホテルにチェックインして夜の懇親会まで自由行動。私は実家宿泊のため、空白の時間を余儀なくされたのでした(汗)。
皆様とホテルで別れてから浦和の街を歩くと、
カフェの前に人だかりができています。
そう、「浦和レッズ」のJリーグ初優勝が懸かった歴史的なゲームが、今まさに行われていたのです。逆転優勝の望みを残したガンバ大阪との直接対決で、浦和リードのまま試合時間は残り10分強! 常日頃から地元の熱い支持を集める浦和レッズの天下分け目の一戦、盛り上がらないはずはありません。
偶然とは言え最も熱い時間に最も熱い場所に居合わせた私・・
ここは一丁乗っかるしかないでしょう(笑)。
カフェの前の人だかりをかきわけ、スクリーンおよび店内が見える位置に移動してみます。
当然店内は満席、それも
赤いユニフォームや赤いマフラー・赤い旗の方々ばかりです。プレイのひとつひとつに拍手や歓声やため息、そして時には笑い声が沸きあがっています。
私が覗き始めてからすぐ、スクリーンに映った人影にひときわ大きな喝采が沸き起こりました。そう、私も知っている古参メンバー「野人」岡野が投入されたのです!(まだご健在だったのね・汗) サッカーに疎い私でも、97年W杯フランス大会出場を決めた彼の劇的なゴールは覚えています。恐らく「甲子園で勝負が決まった9回に三年生部員が代打で出る」のと同じ演出と思われますが、これには私もちょっと心を打たれました。
やがて笛が鳴り試合終了・・
3-2で浦和の勝利、浦和レッズ初優勝!!
歓喜の叫びと拍手が店内を包みます・・
店内の狂騒とスクリーンの中ではしゃぐ選手たちをしばらく眺めてから、私はその場を立ちました。
浦和の駅前では号外が配られ「
赤山」の人だかり・・伊勢丹では優勝記念セールのチラシに人が群がっているし、駅の改札口には
浦和駅長名義のお祝いポスターが掲示されています。
「いや~、良かったね、みんな・・」私は同県民/同市民として暖かい気持ちになるのでした。
世界の中心の各所で時間をつぶした後、夜の懇親会の会場に向かいます。
会場はもちろん浦和、すなわち・・小料理屋の店内は
赤いヒトたちで一杯です(笑)。
「負けなくて良かったねぇ~・・」店の一角を占めた場違いなスーツ&タイ姿のおやぢ約10名=我々は心から思うのでした。
当然予想される通り、店内の赤いヒトたちは同類同士その場で意気投合し、エールや乾杯を交わしています・・でもやっぱりスーツおやぢ団が気になるのか、チラッと横目で見ながらかなり遠慮がちに騒いでいらっしゃる(!)。
「いやいや、せっかくの記念すべき夜なのに我々のほうが場違いってモンです。我々に遠慮なく盛り上がっちゃってください」
言葉でそう言うのも野暮ってモノ、我々は素早く目配せし、彼らの次の乾杯の際には一緒に「カンパ~イッ♪(ぱちぱち)」と参加してあげました♪(彼らが非常に喜んでくれたのは言うまでもありません。)
一次会が終わり店を出ます。周囲の飲食店や通りには、やはり赤いヒトたちがこれでもかと溢れかえっています・・二次会の飲み屋を探して歩こうにも、そもそもヒトが多くて歩けない(汗)。浦和の街中が赤いヒトたちに乗っ取られ、
街角のあちこちでハイタッチや握手/抱擁、高歌放吟や手拍子が続いています。
「こりゃどこも一杯だな・・」途方にくれながら赤いヒトたちの間をかきわけて歩くスーツおやぢ団。しかし名古屋からの客人一同は逆に楽しんでくれ、
ケータイでパシャパシャこの光景を激写していました(笑)。
やがて一行は鄙びたスナック(?)に入れました。オバハンしかいないけど盛り上げ上手&明朗会計のお店で一同大満足、いい感じでできあがってホテルに戻ります。
しかしこの時間でも浦和の街は燃えていました。
何度となく聴こえる緊急車両のサイレン、ボルテージもそのままに騒ぎ続ける赤いヒトたち・・しかし彼らは思ったよりずっと紳士的で、無礼講の中にも守るべき一線は越えない賢明さを感じました(実際にはごく少数の不心得者もいたようですが)。
途中でホテル宿泊組と別れて駅に向かいます。こちらもホットで、スーツにコート姿の私にもハイタッチを求める赤いヒトたちも(笑)。駅の改札からトイレ、ホームから車中まで、赤いヒトたちが溢れています。
帰路、私は一人で考えていました。
「特にウリがある地方ではなく、東京のベッドタウンとして位置付けられることの多い埼玉。その埼玉の人たちがここまで熱く騒げることって、今まであったんだろうか?」
「中でも浦和という土地は、商業の発展した賑やかな大宮に比べて、県庁や美術館・ホールなどを有する文教地区であり、古くからの住民が多いスノッブな土地柄・・言ってみれば"埼玉の世田谷"的な街だ。そんな大人しい土地の人々が無礼講で騒げるのは、こんな日だけなのではないか?」
「つまりサッカー好きにとってもそうでないヒトにとっても、今日は旧浦和市民≒埼玉県民にとって歴史的な日なのではないか?」
そう考えると、私の胸にも熱い想いがこみ上げてきたのでした・・。
おめでとう、浦和レッズ。
おめでとう、我がさいたま市民。
そしておめでとう、我らが埼玉県民。
#出典は不明なのですが、後日テレビ番組で「都道府県・地元愛ランキング」みたいなフリップを観ました。
なんと埼玉県は47都道府県中47位(!)・・ちなみに46位は千葉県でした(汗)。
で、1~5位は北海道・宮崎・静岡・群馬・神奈川の順だったと記憶しています。出典不明なのでコメントは難しいですが「なるほどな」と思う一面もあるのが事実です(笑)。